第5章 太陽みたいな人
そして掃除に不向きな自身の格好を困ったように見下ろす。
それに千寿郎もハッとなる。
桜はちょっと考えるように視線を落とした後、思い切ったような顔になり 目をぎゅっと瞑った。
(ユキ…!もし振り袖に替えてくれたのがユキなら、洋服への戻し方も分かるかな…?必要なの……。)
桜は、たった一つの心当たりであるユキにお願いしてみる事にしたのだ。
(……なんて上手くいくはずないよね…会話もずっとしてないし………)
そう思い目を開けると、桜は ふっと体が軽くなったような感覚を覚える。
見下ろすと洋服に羽織りを着た姿に戻っていた。
「わ……ユ、ユキすごい………。」
千寿郎も目を丸くして見ている。
千「…………どうやって……?」
「あ、あのね……私の友達、ユキにね、今 心の中でお願いしてみたんだ。魔法みたいだね…さすが元神様……。」
千寿郎は桜が呟いた言葉を反芻した。
千(元神様……?)
考え込む千寿郎に気が付かない桜は、友人の存在を確認できて嬉しそうに頬を緩ませている。
「じゃあ千寿郎くん。今度こそお掃除しよう!!」
その声に千寿郎はハッとし、すぐに眉尻を下げて笑って返事をした。
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それから千寿郎は桜と掃除をしながら鬼殺隊や鬼の事を話してくれた。