第32章 ※ちぐはぐな心と体
杏「すまない!君は口が小さいのに何故俺のを咥える事が出来るのか不思議に思った。とてもよく伸びるのだな。そういえば飯を食べる時も一口が大きかったように思える。」
「え!そ、そうなんですか…知らなかった……。」
桜は女として一口が大きいのはどうなのだろうと眉尻を下げたが 杏寿郎は嬉しそうな顔をして桜の頭を撫でた。
杏「これなら君の口が傷付く心配はないな!そして飯をたくさん頬張る君は実に愛いぞ!!俺はとても好きだ!!」
それを聞くと桜はすぐに明るい表情になる。
杏寿郎はその表情を見て嬉しそうに目を細めると 桜の左手をぎゅっと握りながら優しく口付けをし、そのまま首筋に口付けを落としていった。
そして、途中に自身がつけた噛み跡を見つけると翌朝には消されているのだろうともどかしく思ってそれを再び甘噛みした。
「……っ…!!」
杏「見える位置に跡を残せたら良いのだが。非常に歯がゆい気持ちになる。」
それを聞くと桜は明るい声を返した。
「リボンがありますよ。」
杏「リボンを付けている姿を見ると満たされるが、一目見て俺から貰ったと分かる者はなかなかいないだろう。」
その言葉に "なるほど" と頷くと桜は眉を寄せて考え込む。