第32章 ※ちぐはぐな心と体
「杏寿郎さん。……そろそろ愛してくれませんか。」
焦れていない桜に誘われると杏寿郎は喜ぶ大型犬が好いた人に飛びつくかのように嬉しそうな顔で桜に勢い良く抱きついた。
そして布団ではなく畳の方へ倒れ込みそうになる。
「わ、わわ…っ!」
―――ドタンッ
そこそこ大きな音が立ち桜は思わず目を固く瞑ったが、杏寿郎が腕の形を崩さずにいてくれた為に杏寿郎の体重がかかることはなかった。
「きょ、杏寿郎さん大丈夫ですか…?変な姿勢で体重支えたら腕を痛めちゃうんじゃ…。」
杏「問題ない!!これくらいなら痛みも感じない!それより先程はすぐに挿れてしまったので、今度は他の場所も沢山愛したいのだが良いだろうか!」
桜は痛みを感じなかった事に複雑な感情を持ったが、杏寿郎の笑顔を見てその感情に蓋をする。
「はい。私も杏寿郎さんにしたいです。」
桜の大胆な言葉に杏寿郎は体を起こして嬉しそうな顔をしたが、ふと何かを考えるような顔をすると桜の口に両手の人差し指を入れてむにーっと横に引っ張った。
それに戸惑って桜が眉尻を下げると、杏寿郎は指をすぐに離す。