第5章 太陽みたいな人
千「……そう、ですか。」
それを聞いて千寿郎は目を大きくした。
千(桜さん…あんなに男の人を怖がっていたのに……でも…、)
千寿郎は桜に抱きしめられた時に感じた頭が働かなくなるような心地よさを思い出す。
千(あんな心地だったのかな…… 。)
そう思いながら千寿郎はぼんやりしていると、桜が心配そうに顔を覗きこんだ。
それに照れた笑みで答えると、千寿郎はハッとした。
千「…あ!兄上の事が怖くないのでしたら、人の姿のままでいても問題ないのではないでしょうか!」
それを聞くと桜はパッと明るい顔になった。
「そっか!確かに…。そうすれば杏寿郎さんもお布団に連れて行かないだろうしね!」
そう言って二人で安心したように微笑み合い、ふわふわとした空気を出した。
「よし!問題が一つ解決したところで!随分と邪魔しちゃったね…一緒にお掃除しよう!」
千「はい!」
二人はにこにこしたまま立ち上がる。
だが、廊下に出たところで桜は急にピタッと立ち止まった。
千「どうしたんですか?」
千寿郎が不思議に思い様子を見ると、桜は難しそうな顔をして眉を寄せている。
「あの…私の洋服はどこにあるんだと思う……?」