第5章 太陽みたいな人
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「眠ると人間に戻っちゃうのかしら…。」
客間から縁側に出ると腰を下ろし、桜は話題を戻した。
千寿郎は真剣な顔で俯く。
千「その可能性がある以上、桜さんが怖くなくとも兄上と眠るのは避けなければなりませんね…。」
「うん…。でも一回 目を覚ました時は猫の姿だったんだよね…。何か決まりがあるのかな…。」
そう言いながら、桜は杏寿郎の腕の中の温もりを思い出していた。
「その時、杏寿郎さんが起きてたから多分 お布団に入ってすぐだったと思う。」
そこまで言い、桜は太ももに置いてある自身の指に視線を落とした。
「それから何故かまた眠っちゃったんだよね…。」
千寿郎は不思議そうな顔をして首を傾げる。
桜は両手の指を絡ませたり離したりしながら続けた。
「普段なら絶対にあり得ないんだけど…、杏寿郎さんは怖くなくて…それからぽかぽかして……、」
「そしたらすごく…今まで感じた事のないくらい心地良く感じて、自然と眠っちゃったんだ…。」
そう言うと桜はこそばゆそうな顔をして頬を赤く染めた。
「それで次に目を覚ました時は人間の姿だったの。」