第31章 ※歩み寄ること
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「……ふっ…ぁ………、」
今まで近所の大学の学生に桜が何度も暴行を受けていた事とユキの推測について聞き終わってから、杏寿郎はただただ優しく口付けを繰り返していた。
(杏寿郎さん…一言も話さない……。)
そう思って眉尻を下げていると、杏寿郎がとうとう舌を入れようとした為 桜は慌てて顔を背けた。
すると杏寿郎は顕になった首筋に口付けを落とし始める。
「………きょ、杏寿郎さん。…杏寿郎さんっ!!」
その諌めるような声色に杏寿郎は太い眉の尻を下げて顔を上げた。
杏「もう少し触れたい。どうしてもだめか?乱暴な事はしないと約束する。」
そう言いながら杏寿郎は壊れ物を扱うように優しく桜の頭を撫でる。
桜は過ぎた事に心を痛めてくれる杏寿郎を愛おしく思ったが、体が熱くなっていくのを感じると眉を寄せた。
「だ、だめです。あんまりしたら私…また……。抑えるの結構大変なんです。こういう事は煉獄家の離れでだけにしましょう…?」
それを聞くと杏寿郎は素直に『うむ。』と頷きながら桜を優しく押し倒した。