第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
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―――ああ、良かった。では話の続きをしよう。
(………?…………は、い…。)
その感情の読めない声を聞くと、桜は自身が男の子へしてしまった事へのやり切れない想いになんとか蓋をし、この機会を無駄にしないように気持ちを切り替えた。
(とにかく、鬼を早く絶やすために鬼殺隊に協力を…、)
そこまで考えると、桜はある矛盾に気が付く。
(………あれ…?ユキが助けたのは鬼殺隊の人が主の筈です。ユキがあのまま助けていれば鬼をもっと早く狩れたんじゃないんですか……?)
―――あの神のやる事は目立ったけれど、鬼については鬼の頭や、強い鬼が連続して消えた時になって初めて分かったの。
(ユキが分かり易い…?ユキが無茶な治療をした数よりも、他の鬼の被害の方が多い筈です!なのにユキだけ、)
―――鬼は消える時になって初めて釣り合いの取れない事をする。そしていつもすぐ消えてしまう。だからとても見付けづらい。仕方がなかった。
(そんな…仕方がなかったって………、)