第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
―――――――――
杏寿郎は腕の中の体が人に変わったのを感じ、急いで様子を見ようと体を離すと目を見開いた。
桜はいつの間にか酷い怪我を負った姿に変わっていた。
杏「桜!!!ユキ、頼む!!!!」
頭から流れた血で顔は真っ赤に染まり、胃から出たと思われる黒い血を大量に吐いて 呼吸も細く今にも止まりそうだった為、内臓にも酷い怪我を負っている事が分かった。
ユ(何が起こって…この怪我はまるで………、)
幸いユキによってすぐに治療を施されて呼吸は穏やかになったものの、桜は結局目は覚まさなかった。
杏「ありがとう。」
杏寿郎はユキに短く礼を言うと、黙り込んで何かと戦うように険しい顔をする。
そしてまた桜を優しく抱きしめた。