第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
茂「お前…大人しくって言葉知ってるか?俺言っただろ。何もするなって…。」
茂雄はそう低い声で言いながら目を細めて額に青筋を浮かべる。
そしていつもブレーキ役をしていた茂雄がぷつりと切れると、二人は互いの胸ぐらを掴んで言い合いを始めた。
隆「だ、大体何でお前が命令すんだよ!!頭もバンバン叩くしよ!禿げちゃうだろうが!!」
茂「それはお前が馬鹿だからだ!!まだ十歳の俺の弟の方がしっかりしてるぞ!!お前と任務が被る度に俺の方こそ禿げそうだ!!!」
隆「何でお前が禿げんだよ!!俺は叩いてねーぞ!人の事バカにする割に記憶力ないんだな、お前!」
茂「俺はお前が馬鹿で苛々するから禿げそうだって言ってる!!何で分からないんだ!!!」
杏寿郎は桜をそっと抱き上げると、二人に大きな目を向ける。
杏「坂本!!澤村!!そんな事をしている暇があるなら鍛錬をしろ!!!」
茂「は、はい…。」
隆「すみませんでした……。」
すぐに互いから手を離して謝る二人を見ると杏寿郎は微笑んだ。
杏「俺に謝る必要はない。今晩斬るぞ!!気合いを入れろ!!!」
茂&隆「「はい!!!」」
二人の目に強い光が戻ったのを見ると杏寿郎は満足そうに頷いて部屋を出た。