第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
ユ(貸そうと思っても貸せなかったのに、軽々と体から押し出された。それに体が二つに…この干渉の仕方は…、いや、そんな事よりも桜はなぜ目を覚まさない…。)
ユキは杏寿郎の腕の中で目を瞑り続ける桜に歩み寄る。
杏「中に入っているのは桜で合っているか!」
ユキは杏寿郎の問いに目を閉じると次々に答えていった。
―――
杏「原因がはっきりしないのはもどかしいな。」
白石の反応から、今ユキの体の中にいるのが桜である事、ユキは部屋にいる事、これに心当たりがある事、詳しくは分からない事、命には関わらないだろうという事が分かった。
眉尻を下げつつも杏寿郎は少しほっとしたように息をつき、腕の中の桜を見下ろす。
それを見た隆史は張り詰めていた空気が少し和らいだと感じ、口を開いた。
隆「煉獄さん一体なにあ"あ"あ"ってぇ!!何すんだよッ!!」
茂雄に足を力強くつねられた隆史は立ち上がって距離を取る。
それに応えるように茂雄も ゆらぁっとゆっくり立ち上がると隆史を睨みつけた。