第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
杏「話はまとまったな!!それから二人とも、癒猫様の話は口外しないでくれ。お館様から口止めするように言われている。癒猫様は鬼殺隊に協力してくれる事になったのだが、任務同行に慣れるまでは秘密にしておきたいんだ。」
杏寿郎の眼力の強い大きな目に見つめられると、二人はまた急いでこくこくと頷く。
茂「助けていただいたので!ご迷惑になるような事は絶対に致しません!!」
隆「自分もです!!昨晩は腹に傷を負ったので…癒猫様がいらっしゃらなかったら……。」
それを聞いて杏寿郎は満足そうに頷いた。
杏「では俺は一旦帰って隊服に着替えてくる!すぐ戻ってくるので用があれば庭に面した一番左の部屋を訪ねてくれ!!」
そう言ってバッと立ち上がると襖を開ける。
しかし杏寿郎は何かを思い出したようにピタッと足を止め、二人を振り返る。
二人は今までずっと笑顔だった杏寿郎の真顔を見て固まった。
杏「君達はどう見ても十五を超えているな。俺が居ないところで桜には近付くな。もし破れば、俺は君達に何をするか分からない。」
二人が喉を鳴らすのを見ると 杏寿郎はまたパッと笑顔を作る。
杏「では!今度こそ失礼する!!」
部屋を出て行った杏寿郎を見送ると、茂雄と隆史は目を見合わせて深く息を吐いた。
茂「………死ぬかと思った。」
隆「俺も。煉獄さん、婚約者いるのかー。」
茂「ああ。それも…かなり……、」
隆「かなり溺愛してるな。」
それに茂雄も頷くとまた二人は深く息を吐く。
隆「まあ…何はともあれ!これであの鬼を斬る事が出来るな!それに柱の戦う姿を拝めるんだぜ。」
茂「そうだな。不謹慎だが楽しみでもある…!」
そう言うと二人は喉をこくりと鳴らして汗を流しつつも微笑み合った。