第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
――――――――
杏「そうか、鬼の居場所は大体掴めているのだな。」
茂雄と隆史の話によると、鬼は若い女ばかりを狙う男の鬼で 元下弦の十二鬼月であるとの事だった。
二人は前にも同じ任務についたことがあり、そこで元十二鬼月の鬼と遭遇した事があったが それよりも桁違いに厄介だと口を揃えて言った。
その厄介な理由は血鬼術にあった。
それは触れたものを一定の時間一回り大きな岩にする事が出来る、というものだった。
その為二人は夜になる度に棒状になってしまう岩の刀で人を襲わせないように攻撃を受け続けるだけで精一杯であり、斬る余裕など微塵も無く一週間も一ノ瀬家に滞在していた。
杏「首を斬る為にはどうしても日輪刀を鬼の体に触れさせねばならない。そして日輪刀が岩になってしまう、か。」
その言葉に二人はこくこくと頷く。
しかし、杏寿郎は自信のある笑みを浮かべたままだった。
杏「たしかに厄介だが、無意識下では使えない血鬼術とみた!!日輪刀ではない武器で攻撃を絶えず与え続け、血鬼術を使えない程追い込む!そして隙が出来たところですかさず首を斬れば良い話だ!!」
それを聞いて、一方的に攻め続けるなど出来そうに無かった二人は呆然とする。
しかし杏寿郎は明るい笑みを浮かべて二人の肩をぽんと叩いた。