第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
杏「癒猫様を知っているな!!察するに癒猫様が治した相手は君達だろう?癒猫様と俺の婚約者の桜は特別な縁があって先程話をしていたのだが、こちらの当主の奥さんがこのままだとその鬼に殺されるのだと聞いた。なので手助けをしたい!!」
そう言うと杏寿郎はズイッと二人に顔を近付ける。
二人は再び体を震わせた。
杏「良いだろうか!!!」
茂&隆「「も、もちろんです!!!」」
杏「ありがとう!では今分かっている情報を共有させてくれ!!」
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「大神…さま…………?」
ユ『存在を感じ、私が名前を付けただけだ。姿も声も、何も知らない。桜をここへ連れてきて使命を与えたのは正確には私ではなく大神さまだ。桜が死ぬ前、使命を背負う代わりに命を助けてくれと私が懇願したのだ。』
「死ぬ…前………。川の事だよね…。ユキ、あの男の子とわんちゃん…どうなったか分かる……?」
それを聞いてユキは安心させるように纏う空気を柔らかくした。
桜は眉尻を下げたまま首を傾げる。
ユ『桜と一緒にここへ来たから分からない。でも桜はきちんとあの子等を声が出るまで元気にさせてあげられただろう。絶対に助けが来たと私は思うよ。』
「そっか…。うん。私も信じる。」
桜がそう言って微笑むとユキは嬉しそうに赤い綺麗な目を細める。
そしてまた真剣な顔に戻って話を続けた。