第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
ユ『……桜?』
「え……あれ?…勇重さんも…杏寿郎さんも……、ユキの事見えるの……?」
それを聞くと勇重はハッと我に返って姿勢を正した。
重「さ、昨晩からお姿を見せてくれるようになりまして…!!」
その言葉に桜と杏寿郎は顔を見合わせる。
杏「君が姿を借りられなくなった時だな。」
桜はこくりと頷くともう一度ユキへ視線を戻し、問うように首を傾げた。
ユ『槇寿郎の話を聞いたあと、私はこちらに引き寄せられた。』
ユ『人に姿を見てもらえ、再び信仰され傷を治せた事に舞い上がってしまった。そちらに意識を向けなかったのは悪かったと思っている。だが杏寿郎が側にいれば問題ないと思ったのだ。』
杏「誠に不甲斐な…む"ぅッ!!」
「そっか…傷を…。それなら怒れないな…。…そういえばユキ…この時代のユキは…?」
余計な事を言おうとした杏寿郎の口に無理やりお茶菓子を詰め込むと、桜は首を傾げる。
その問いにユキも首を傾げた。