第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
ユ『杏寿郎…私の事は支えてくれないのか。とても悲しいぞ。』
それを聞いて杏寿郎はパッと目を輝かせる。
杏「その声はよく聞いていたはずだが、やはり中が本物の神だと威厳が違う!仰っている事は大変可愛らしいが!!」
そう言うと桜を畳に下ろして杏寿郎はユキの前に座り直す。
杏「会話をするのは初めてなので改めてご挨拶したい!煉獄家が長男、煉獄杏寿郎と申します。どうして俺を認めて頂けたのかお聞きしても良いだろうか!」
そう真っ直ぐな目を向けられるとユキは居心地悪そうに視線を逸した。
ユ『知っているだろう。桜は若い男が苦手なのだ。だから…、』
「それより昨晩から何してたの?」
杏「よもや…。」
桜にユキとの会話を邪魔されて杏寿郎は露骨に残念そうな顔をする。
その混沌としたやり取りを勇重はただただ口を開けて見ていた。
重「………癒猫様とどういった……?」
小さな戸惑った様子の声に三人は勇重を振り返る。