第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
「そっか…篤勇さんは頼勇さんの息子さんですよね…。私はその方の息子の息子の娘です。見間違うほどに遺伝するなんて不思議ですが、私は本当に…水琴さんではありません。」
そう言うと桜は頼勇の腕の力が緩んだのを見逃さず その隙に急いで杏寿郎の側へ寄った。
杏寿郎は頼勇を哀れに思う気持ちもあったため 目の前で腰を抱いたりはしなかったが、桜を自身の後ろへ隠すようにすると手をしっかりと握った。
そして、敢えて頼勇に何も言わずに門へ向かい 中に声を掛ける。
杏「鬼殺隊だ!誰かいないか!!」
その声に慌てて手伝いの者達が迎えに出てきた。
女「鬼狩…煉獄様…!?と…、……え?…奥さ、ま………?」
『旦那様!!また探しに行かれていたのですか…!』
『お願いですからお一人で行かないでください……皆心配して…、』
杏寿郎は振り返って頼勇を心配する声を聞くと手伝いの者に小さな声で経緯を伝え、呆然と二人を見続けていた頼勇を任せた。