第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
「…あ、の………。」
それを見て杏寿郎は額に青筋を浮かべる。
杏「貴方は人違いをしている。心が弱っている人に力を使いたくない。どうかそちらから離してくれないか。」
そう言われて頼勇はやっと桜から視線を外し、杏寿郎の特徴的な髪色を確認した。
頼「まさか……煉獄様…?妹の縁談を断って俺の妻に手を出すなど…いくら大恩人のご子息であろうとそんな事は…ッ」
「あの!!!私は桜です!!!」
桜はこの場を収められるのは話の中心であり、一番冷静な自分だけだと思い 大きな声を上げた。
(どうしたら水琴さんと違うって分かってもらえるかな…そもそも水琴さんを知らない…。とりあえず今は気を逸らしてみよう……、)
大きな声に頼勇は少し呆けた様子でいる。
その顔を見上げると、桜は喉をこくりと鳴らした。
「頼勇さん。信じられないでしょうが、私はあなたの子孫です。…えっと私の父が勇之で、祖父が藍勇さん、曾祖父が篤勇さんで…、」
頼「篤勇が……曾祖、父………?」
その次が頼勇だと気が付いた桜はハッとした。