第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
「私もわくわくしてます。家系図は何度も見たことがありますが、実際にご先祖に会うだなんて…。」
そんなやり取りをしていた時、向かい側からふらふらと歩いてきて門に入ろうとした男が桜達の事を見て目を見開いた。
男「水琴!!!!」
よろけながらただならぬ様子で走ってきたその男はそのまま勢いを殺さず桜を抱き締める。
杏寿郎は桜の親族の可能性が高かったため、眉を寄せつつも遮りはしなかった。
男「水琴…水琴……二年もどこに行っていたんだ……、水琴……!」
だがいつまで経っても桜の体を離さない男に我慢を出来なくなると とうとう口を開いた。
杏「すまないがもう離してくれ。」
その声で呆けていた桜もハッと我に返る。
「あれ…怖くない……。あ…あの、私は桜といいます。…貴方とは初対面かと…。」
その言葉を聞いて男は桜の肩を掴んでバッと体を離した。