第28章 藤の花の家紋の家と癒猫様
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「ここから歩けば一時間以上かかりますよね…二時間まではいかないかな…?あ、でも道路が未来より少ないから回り道になったりするのかな…。」
そう言って考えるように眉を寄せる桜を見て杏寿郎は驚いたような顔をした。
杏「君は俺の家がどこなのか分かるのか?」
それを聞いて桜は杏寿郎を見上げる。
「恐らくですが…駒沢という地名と、大宮八幡神社の南ということから心当たりがあります。」
それに杏寿郎は腑に落ちた顔をすると、すぐにパッと顔を明るくさせた。
杏「俺の家の近くに新しく長い桜並木が出来たのだが、君の時代にも残っていたのだろうか。春になったら是非一緒に見に行きたい。」
「駒大近辺の桜並木……残ってますよ!その桜並木にあやかったのか、桜新町という地名になっていました。私も杏寿郎さんと一緒に歩きたいです!」
そう言って嬉しそうに微笑む桜を見ると 杏寿郎も目を大きくさせて嬉しそうに微笑んだ。
杏「そうか!とても良い名だ。春が待ち遠しいな!」
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二人は話をしながらしばらく手を繋いで歩いていたが、桜の歩く速度が落ちてくると杏寿郎は突然桜を横抱きにして走り出した。