第27章 仲直りとお買い物
杏「しかし、先程までの俺の行動を聞く限り焦りがあるようだな。俺もまだまだ未熟だ。不甲斐ない。」
それを聞いて桜は眉を寄せて少し怒ったような顔になる。
杏寿郎は驚いて目を大きくするとその理由を訊くように頬を指の背で撫でた。
「…今晩お教えします。杏寿郎さんは何も分かっていないです。この話は一旦終わりにして注文しましょう!」
その言葉に杏寿郎は眉尻を下げて少し不満そうな顔をしながらも頷いた。
―――
杏「うまい!!」
「きょ、杏寿郎さ、」
杏「うまい!!」
「もう少し静か、」
杏「うまい!!!」
「杏寿郎さんっ!!」
杏「うまいッ!!!!」
鯛の塩焼きを食べだした途端、杏寿郎の耳は桜の声を拾ってくれなくなった。
桜がおろおろとしていると、二人のやり取りを聞いたみちるがやってきて桜に笑いかける。
み「気にしなくて良いんですよ。慣れてますから。それに、こんなに美味しそうに食べて貰えたらこちらも嬉しいですわ。」
その言葉に ほっと息をついて礼を言うと桜も再び箸を進め始めた。