第27章 仲直りとお買い物
杏「嫌だったのか?」
「……うぅ…違います!ですが、ちょっとびっくりして…。あと…外堀を埋めようとしているのかな、とか…そうしないと私が逃げると思ってるのかな、とか……深読みしちゃって…。」
桜はそう言って眉尻を下げると自身の手に視線を落とした。
その様子を杏寿郎は真剣な目で見つめる。
杏「君はこれを聞いたら怒るだろうが、君は俺しか知らないだろう。雛鳥が初めてみた相手を親だと思って懐くように、君が俺に対して抱く感情も純粋な恋慕ではない可能性があると思っている。」
桜はそれを聞いて絶句すると杏寿郎に大きな目を向けた。
「……そ、そんな筈…ないじゃないですか………。」
杏「可能性の話だ。俺しか知らないのは事実だろう。」
そう言うと杏寿郎は柔らかい表情を作って桜の頭を優しく撫でる。
杏「だが今は恋慕でなくとも構わない。怖いと感じない他の男が現れ 俺への感情と比較するものが出来たとしても、君が俺の元から離れていかないよう 俺が全力で努力すれば良い話だ。」
杏寿郎はそう言うと眉尻を下げて微笑み、桜の頬に手を当てると慈しむように優しく撫でた。