第27章 仲直りとお買い物
「きょ、杏寿郎さん…恥ずかしいです…。お外でこういった事は…、」
杏「む、すまなかった!!」
その杏寿郎の甘い仕草に健一はまた目を見開き、みちるは微笑んだ。
み「ではでは、注文お決まりになりましたら呼んでくださいね~。」
健「まだ昼前で客が少ない。お前、座敷はなるべく人を入れないようにしてあげてくれ。杏寿郎くん、ゆっくりしていって構わないからね。」
そう言うと二人はお辞儀をして座敷から出ていった。
それを杏寿郎と桜もお辞儀をして見送る。
「…………………妻?」
桜は気になっていた言葉を口にして杏寿郎を見上げた。
それを受けると杏寿郎はきょとんとした顔をする。
「杏寿郎さん、さっき私の事を妻だって紹介してましたよ…?呉服屋さんの奥さんにも…。」
杏「む…すまない。無意識だった。嫌だったか?」
そう元気のない声で言われると何も言えず、桜は居心地悪そうに視線を逸した。
しかし杏寿郎は大きな目を逸らさず、それどころかぐっと近付くと桜の横顔を見つめ続けた。