第27章 仲直りとお買い物
「みちるさん、健一さん、桜と申します。どうぞよろしくお願いします!」
桜はその場の勢いに飲まれそう言うと深くお辞儀をし、また花咲くように柔らかく笑う。
その独特な柔らかい雰囲気に夫妻は思わず頬を緩めた。
健「私はてっきり杏寿郎くんは女性に興味がないものだと思っていたよ。まあえらく別嬪で…気立ても良いときた。一体どういったご縁で?」
そう言いながら健一は二人を奥の座敷へ案内する。
( "杏寿郎くん" か……昔から知ってるのかな……。)
杏「桜は父と交流のあった家の女性で、俺の仕事の関係で知り合いました!俺がすぐに惚れ込んでしまい、押しに押してなんとか首を縦に振ってもらったばかりです!!」
「え…っ!そ、そんな言い方……好きになったのは私の方が先ですよ!!」
まるで無理やり口説き落としたかの様な言い方に桜が思わずそう口を挟むと三人は同時に桜の方を向き、夫妻はなんとも微笑ましそうに笑って杏寿郎は明るい笑顔を浮かべた。
「…あっ…いえ……、今のはそういう意図じゃ、」
杏「そうか!ありがとう!!」
そう言いながら杏寿郎は ぶわわっと赤くなった桜を愛おしそうに見て髪を優しく梳く。
桜は座敷に他の客が居ないとはいえ、夫妻が見ていたので眉尻を下げてその腕を止めようと手を添えた。