第27章 仲直りとお買い物
「きょ、杏寿郎さん!待ってください!」
(多分、あの子達の目は憧れからくるものだ…なのに買おうとする人があまりいない。もしかしてこれ高いんじゃないかな…。)
桜が諌めるような声色を出すと杏寿郎は眉尻を下げて首を傾げる。
杏「気に入らなかったか?俺はとても似合うと思うぞ。」
「いえ…そうではなくて……、」
桜は呉服屋での杏寿郎の言葉を思い出すと、強い目をして杏寿郎を見上げた。
「杏寿郎さん。伝えておきたい事があります。」
桜の珍しい凛とした声に杏寿郎は目を大きくさせる。
「先程も呉服屋さんでとんでもない事をおっしゃいましたね?屋敷に入るのならいくら買っても良いと。」
杏「うむ!遠慮せずいくらで、」
「そんなに要りません!振り袖もあるので普段用二着と余所行き用一着あれば十分です!」
ピャシャッと言われると予想外だった杏寿郎は笑顔のまま固まった。
その様子に眉を寄せると桜は杏寿郎の両手をぎゅっと握る。
「お気持ちは嬉しいですが、私を甘やかし過ぎです。察するにリボンも安いものではないのでしょう?髪留めなら持ってきたものがありますし不自由していません。多くても一つで構わないんです。」
その意志の強い声を聞くと 杏寿郎は納得したような顔になってすぐに頷いた。