第27章 仲直りとお買い物
「……終わった事は話しても何にもなりません。これから知らない男の人と二人きりにならないように気を付ければ良い話です。」
杏「いや、参考になる可能性があるだろう。辛いかもしれないが出来るのなら話して欲しい。」
杏寿郎の意志の強い声に桜はまた眉尻を下げる。
しかし、肩の力を抜くとすぐに吹っ切れたような表情を浮かべて顔を上げた。
「分かりました。でも杏寿郎さんが側にいれば問題ないのでお家に帰ってからでもいいでしょうか…?ちゃんと話します。私からもユキについて話したい事があるので…。」
そう言われて初めて杏寿郎はユキがこの事態を回避しなかった事に気が付く。
しかし、すぐに切り替えるとそれについても質問せずにしっかりと頷いた。
杏「うむ!では買い物に戻ろう。…傷は本当に全て治せたか?」
杏寿郎は桜をそっと下ろして地面に立たせると心配そうな目を向ける。
すると桜は確かめるようにその場でぴょんぴょんと軽く跳ねて痛みが走らないか確認した。
そして少し顔を顰めると 杏寿郎に隠すように背を向け、手早く肩と腹を撫でる。
「……うん、もう大丈夫みたいです!」
そう言いながら桜が手を差し出すと、杏寿郎は眉尻を下げたまま微笑み その手を取ったのだった。