第27章 仲直りとお買い物
杏「君は体に触れさせないよう抵抗して殴られたと伝えたな。それは本当か?」
「何でそんな事訊くんですか?私の嘘は分かりやすいのでしょう?」
桜は杏寿郎の追求に答えず眉尻を下げて困ったように見上げた。
すると埒が明かないやり取りに 杏寿郎は大きな目を向けたまま低い声を出す。
杏「紛れもない嘘が一つあったので気になった。君は抵抗などしていなかっただろう。」
それを聞くと桜は体を揺らす事もなく眉を寄せて只々固まった。
杏「道での君の怯え様を見た。殴る必要がある程の抵抗を君が男に出来たとは思えない。駆けつけた時も君は無抵抗だった。抵抗していないのに何故殴られていたんだ。」
そう訊かれると桜は諦めたような顔をして少し俯く。
「私だって理由を知りたいです。ただ私に暴力を振るうと気持ちが高揚する人が多いみたいで、」
杏「多いだと?これまでにも複数人に暴力を振るわれた事があるのか。」
途端にピリついた杏寿郎の声を聞くと、桜は自身の失言に苦い顔をして何故か後ろめたそうな顔になっていった。