第27章 仲直りとお買い物
男が去って柔らかい空気になった後も杏寿郎は暫く桜の頭を撫で続けた。
杏「甘えたな君も大変愛いな。」
あまりにも大人しく撫でられているので、杏寿郎は興味深そうな顔で桜を覗き込む。
すると予想に反し、桜は照れる事なくただ笑みを浮かべた。
「杏寿郎さん…。」
周りに誰もいないことを確認すると、桜は杏寿郎の胸にきゅっとしがみついて杏寿郎に口付けをねだるように見上げた。
杏寿郎はその行動に目を大きくさせたが、先程の恐怖からの反動なのだろうと眉尻を下げると努めて優しく口付ける。
すると杏寿郎が目を瞑ったのをきっかけに桜は無意識に我慢していた涙を溢してしまった。
「あはは…安心したら涙出てきちゃいました。情けないなあ…。」
杏「桜。あの男に何をされた。」
桜はその言葉を聞くと 居心地悪そうに目を伏せて杏寿郎から視線を外す。
「拳を当てられただけですよ。杏寿郎さんも見たでしょう。」
その言葉には嘘を感じられず、杏寿郎は不可解そうな顔をする。