第27章 仲直りとお買い物
「………っ…、」
桜は周りに人気がなくなっていくのを見て、待ち合わせ場所に適した場所へ向かっていない事に気が付く。
何とかしないとと思い、桜は踏ん張ることを諦めなるべく人目につくように座り込んだ。
そして立ち上がるまいと眉を顰め、まるでしがみつくように土を握る。
それまで黙っていた男はそれを見て目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
男「具合悪いんですか?ここだと人目がありますし、少し移動しましょう。」
男はそう優しく言うと軽々と桜を抱き上げる。
細身の男は自身を抱き上げられないだろうと踏んでいた桜は予想外の展開に青くなった。
迷いのない歩みで男は路地裏に入り 大通りから外れると林の方へ向かう。
「ま…っ……て…………、」
桜はそれに抵抗するように "目を瞑りながら" 震える手で男の胸を押そうと試みるも、全く力が入らない。
(大丈夫…杏寿郎さんが絶対に助けに来てくれる…。それまで信じて諦めなければいいだけ……。)
そう思って再び胸を押そうとしたとき、突如降ろされダンッと押し倒された。
そして桜は上から見下ろす男の顔にぞっとする。