第27章 仲直りとお買い物
(…いな、い……?さっきまで外から見えるところにいたのに……、どうしよう………。)
男「お兄さんとはぐれてしまったんですか?一緒に探しますよ。あちらによく待ち合わせに使われている場所があります。行ってみましょう。」
男はそう言うと、柔らかな表情と裏腹に有無を言わさず桜を引っ張ろうとした。
桜は目を見開くと首を振って断ったが、男は微笑んで肩を抱いて歩きだしてしまった。
(どうしよう、どうしよう……足に力が…止まりたいのに押されると踏ん張れない……杏寿郎さん……、)
一方、桜が遅いので杏寿郎はまた呉服屋を訪ねた。
奥「奥様なら十分ほど前に……煉獄様!?」
杏寿郎は最後まで聞かずに呉服屋を飛び出すと、笑みを消して人気のない方へ走り出した。
杏(髪飾りの店は中を確認しながら出てきた。道を横切るだけの間に何かあるとすれば男だ。少しでも目を離すべきではなかった!)
そう思いながら杏寿郎は更に足に力を込めた。