第27章 仲直りとお買い物
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杏「桜!!肩を抱いてもいいだろうか!!!」
街の中心に着いてしばらく経った頃、杏寿郎がどこを見ているのか分からない笑顔のままどこかヤケになったような大声を上げた。
それを聞いて桜は困ったような顔をする。
「若い男女が連れ立って歩いている姿もあまり見ないですし、いても皆 手すら繋いでいませんよ…?」
杏「むぅ。」
杏寿郎は桜に眉尻を下げて不満そうな声を出すと、唐突にピリッとした空気を出して後ろを振り返った。
その様子に今度は桜が不満そうな声を出す。
「杏寿郎さん、さっきからどこを見ているんですか…?今日、杏寿郎さんの為におめかししたんですよ…気付いて欲しかったです……。」
桜はそう小さな声で告げると、杏寿郎の気を引こうと袖をきゅっと引っ張り 上目遣いの赤い顔を向けた。
杏「すまない!それには気付………ん"ッ!!!」
杏寿郎は桜に視線を戻した際にその表情に不意を突かれ、妙な声を最後に口角を上げたまま固まってしまう。
一方、桜は笑ったまま固まる杏寿郎の様子を少しの間 おかしそうに見ていた。
「杏寿郎さん、そろそろ動いてください。……杏寿郎さん………?」
いくら待っても動かないので、さすがに意識を取り戻してもらおうと揺するも反応がない。
その様子に桜はみるみると不安そうな顔に変わっていった。