第27章 仲直りとお買い物
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「すみません。歩くの遅くて…。」
桜はそう言いながら歩調を自然と合わせてくれる杏寿郎を見上げた。
杏「全く気にしていないぞ。ユキの姿で行けば囲まれる。呉服屋に行く為に人に戻る際 苦労しそうだ。なにより…、」
そこで言葉を切ると、杏寿郎は柔らかい笑みで桜の髪を梳く。
杏「君とこうして外を歩くだけで満たされる。謝る必要は全く無い。」
「そう、なんですね…。私もとっても嬉しいです…!」
桜は嬉しそうに はにかみながら微笑んだ。
そんな幸せそうな空気を出しながら歩んでいくと、段々と道に人が増えてくる。
「す、すごい……杏寿郎さんと居るとやっぱり怖くないです…。あ!今通った人若い男の人でしたよ…!気付かないくらい意識してなかったんだ……。」
そう小声で言いながらとても楽しそうに笑う桜を見て、杏寿郎は少し複雑な気持ちになった。