第27章 仲直りとお買い物
杏「そういう事なら待とう。明日、君と話が出来るようになるまで時間を掛けて反省する。本当にすまなかった。……ゆっくり休んでくれ。」
その言葉に桜はこくんと小さく頷いた。
一組の布団に入っている二つの体は触れる事なく、別々に寝るよりも寂しい雰囲気が漂う。
だが、話に区切りがついて力が抜けた桜にとって其処は寂しいなどという生易しい場ではなかった。
(あ、熱い………体……、さっき途中だったから……、ユキ……体を貸して…、ユキ…………、)
振り返れば望みを叶えてくれる人がいる。
だが、桜は杏寿郎が寝息を立てるまで上がり続ける息をなんとか抑え、起こさないようにこっそりと布団を出ると隣の部屋へ入った。
(あ、危なかった…。杏寿郎さん早く寝てくれてよかった…。)
ほっと息をつきながら部屋を見渡すと桜は眉尻を下げる。
(……でも、ここに来てもお布団はないし、運んでもらったから履物もない…。火鉢も…ない…。ユキの姿で屋敷に戻らないと凍えてしまう……。)
しかしユキは頑なに体を貸さなかった。
それに戸惑っているうちにもどんどん息が上がり、桜は足に力が入らなくなるとその場に座り込んでしまう。
「さむ、い………。」
(でも…何かあっても治せる。命に関わるほど凍えれば健康体の体温まで戻すことも出来るはず…。ここでこの体をどうにかしよう。)