第27章 仲直りとお買い物
杏「すまない!首に捕まってくれ!」
そう言うと杏寿郎はダンッと地面を蹴り、一瞬で離れの前に立った。
元の世界で例えるとかなり立派な戸建て程の大きさで桜は目を見張る。
「……ここが…、」
杏「うむ!愛の巣というやつだな!!」
「ふふ、何だかわくわくします。」
釣られて微笑む桜と楽しそうに会話をしながらも、杏寿郎は桜の身が冷える事を案じ 手早く懐から鍵を出して戸を開けた。
「全く埃っぽくないんですね…。」
杏「うむ。千寿郎が週に一度手入れをしてくれている。…この部屋にしよう。」
杏寿郎は敢えて奥まった部屋を選ぶと襖をスッと開け、桜を畳の上に優しく下ろした。
そして自身の羽織を桜に掛けると踵を返して廊下に出る。
杏「ここには布団を置いていないので君の部屋から持ってくる!すぐ戻るので待っていてくれ!!」
そう言うと杏寿郎は強い風を起こして消えるように離れを出て行った。
桜はそれを見送ると杏寿郎のお日様のような香りがする羽織りを見下ろして頬を染めた。