第27章 仲直りとお買い物
(……羽織り…杏寿郎さんは外に出るのに私に掛けてくれたんだ…。)
「優しいなあ…。」
杏「それは誰の事だろうか!!」
「ッ!!!」
驚いて体を震わせると布団を担いだ杏寿郎が音もなく目の前に立っていた。
(は…早すぎる……。)
桜はそう思いながら 遅れてやって来た強い風を受けて軽く身震いをした。
「…………きょ、杏寿郎さんです…。羽織りを貸してくれたので……。」
動揺しながらも何とか返事をすると 杏寿郎は心底驚いたように目を丸くする。
杏「よもやそんな事で褒められるとは!俺が連れ出したのだぞ!案じるのは当然だろう!!」
そう言いながら布団を手早く敷き、呆けている桜の体を確認するように抱き寄せた。
杏「やはり少し冷えてしまったな。俺の体は熱い。好きに暖を取ってくれ!」
杏寿郎は再び桜を抱きかかえると有無を言わさず布団へ入る。
桜は腕の中から 心配している為か真顔になっている杏寿郎を見上げて頬を緩ませた。