第27章 仲直りとお買い物
「………え…杏寿郎さん…?」
(今の言葉のどこに反応してそんな表情を…?)
不安そうに問いかけるも 杏寿郎は眉をキリッとさせた凛々しい笑顔のまま何も答えず、机の上の何かを懐へ仕舞って家用の羽織を着ると桜を抱きかかえて颯爽と部屋を出た。
桜はこうなった杏寿郎は止められないと学んでいた為 早々に諦め、杏寿郎の腕の中で大人しく襦袢を整える。
「…………杏寿郎さん、どちらへ…?」
桜は気付いてもらおうと拳を作って胸をとんとんと叩くと、杏寿郎はパッと見下ろして微笑む。
杏「父上から許しを頂いた 俺達が新しく住まう場所だ!そこなら君も声を出せる!安心だろう!!」
「……声………。」
桜は納得しつつも、先程の止めてくれなかった強引で乱暴な行為を思い出して表情を暗くする。
真っ直ぐ前を向いて大股で歩く杏寿郎はその様子に気付けず、楽しそうに微笑んだまま玄関の戸を元気よく開けた。
「さ、寒い…!」
薄着の桜が思わず身を縮めると、杏寿郎は自身の熱い体にくっつける様にきつく抱き寄せる。