第4章 協力者
桜は場が落ち着くと、きちんと姿勢を正して頭を下げる。
「改めまして、宜しくお願いします。」
それを見ると千寿郎は微笑んでから少し複雑そうな顔をした。
千「いえ、その使命を知った今、お願いするのは此方の方です。」
それを聞くと桜は不思議そうに首を傾げて、質問しようと口を開く。
が、その前に千寿郎が バッと勢い良く立ち上がったので機会を逃してしまった。
千「では!!」
そう珍しく大きな声で言いながら、千寿郎は楽しそうな顔をする。
千「兄上が起きたら改めて紹介しますね!神様じゃないという誤解を解かないと!それに、使命の話も!」
そう笑いかけられると桜は肩を小さく揺らして顔を伏せた。
そして眉を寄せて心底困った顔をすると、不安から自身の拳を胸の前に当てる。
「あの…杏寿郎さんには、ただ大きいだけの猫だって伝えてくれないかな…?」
桜の深刻そうな声に千寿郎も困った顔をした。
千「…兄上は桜さんの話を信じてくれると思いますよ…?真剣な人の言う事は笑わずきちんと聞いてくれる人です。」
千寿郎の言葉を聞きながら、桜は先程の青年を思い出す。
(確かに真っ直ぐな目をした人だった…。怖いとも思わなかったけど、それはきっとユキの体だったからだ…。)
桜はふるふると首を振って顔を上げた。
「杏寿郎さんを疑ってるわけじゃなくて…、本当に失礼なのだけど……実は私…、元々若い男性が怖くて……。」
そう言うと 桜の瞳が大きく揺れる。