第25章 嫉妬の対策と変わる関係
杏「君を抱えてこの部屋へ来る夜は初めてではないが、今夜は胸が高鳴るな!」
杏寿郎はそう笑いながらそっと桜を畳へ下ろして襖を閉める。
「ふふ、私はいつもどきどきしてましたよ。」
そう答えると杏寿郎は嬉しそうに微笑んで桜に優しく口付けをした。
そしてパッと体の向きを変えると机へ向かう。
その様子を桜が首を傾げて見つめていると、杏寿郎は振り返って微笑みながら手招きをした。
杏「明日は君に必要な物を買いに行くだろう。何がいるか書いておこうと思ってな。要望があったら言ってくれ。」
それを聞くと桜は杏寿郎の優しさが嬉しくて目を細める。
「ありがとうございます。楽しみです…。」
桜は男性への不安よりも杏寿郎への信頼が勝り、人の姿での外出を楽しみに思える余裕が生まれていた。
その様子を見ると杏寿郎も嬉しそうに柔らかい表情を作り、自身の胡座に入るように促す。
素直に桜が収まると杏寿郎はまた褒めるように頭を撫でた。
その行動に桜はハッとしてから眉尻を下げる。
(…また……。)
桜が少し俯くと、杏寿郎はその頬を何も言わずに指の背で撫でた。