第25章 嫉妬の対策と変わる関係
(逃げる気なんて…最初から全くないのにな……。)
桜もそう思いながら心底幸せそうに口付けを受けていたが、其処が居間であることを思い出すと慌てて杏寿郎の胸を手のひらでぱたぱたと叩いた。
杏「む?どうした。」
「あの…お部屋へ行きたいです…。」
その言葉に杏寿郎は笑顔で応えると横抱きにして居間を出る。
「そういえば離れに住むようにと言われましたね…。」
なんとなく寂しそうに言うと杏寿郎は意外そうな声を出す。
杏「そんな寂しそうに言ってくれるな!また千寿郎に聞かれてしまうぞ!」
それを聞いて桜はハッとした。
「そ、そうだ…聞かれてしまってたんですよね…。何をしてたのか質問されたらどうしよう…。うう、恥ずかしいなあ……。」
桜が情けない声を出すと、杏寿郎も眉尻を下げる。
杏「君の甘い声を知るのは俺だけで在りたかったのだが。いや、それが千寿郎であっただけましか。」
そういう問題じゃないと反論しようとした時、杏寿郎の自室に着いてしまい 桜は眉尻を下げて諦めたように微笑んだ。