第24章 不思議な縁と晩酌
二人きりになった槇寿郎と杏寿郎はお互いに相手が話し出すのを待ったが、結局杏寿郎が先に口を開いた。
杏「父上、先程の説教というのは一体何ですか?」
それを聞くと槇寿郎はあからさまに眉を顰めて杏寿郎を睨みつける。
槇「待て。それは桜と共に聞いてもらう。それに千寿郎がいなくなってからだ。」
そうすると桜と同じく心当たりがないという顔をした。
そしてお茶を飲むと千寿郎は桜と杏寿郎に料理を褒めちぎられ、たくさん撫でられながら部屋をあとにした。
千「父上、兄上、…あ、姉上、失礼します。頃合いを見て風呂の湯を沸かしておきますね。」
それを聞くと桜と杏寿郎はまた柔らかく笑ってお礼を言った。
―――
槇「さて。」
槇寿郎の低い声が響く。
杏寿郎と桜は緊張した面持ちで姿勢を正した。
その様子を一瞥すると槇寿郎は目つきを険しくする。