第24章 不思議な縁と晩酌
「下がり藤と何が違うのでしょうか……?」
杏「藤の花の家紋の家とは、鬼殺隊に助けられた事に恩を感じて協力してくれる一族のことだ。任務先から近ければそこに泊まり、療養することもある。」
教えてくれた杏寿郎に桜は大きな目を向けた。
「い、一度も親や祖父母から聞いたことがありませんでした…。私が生まれてこられたのは鬼殺隊の方が私のご先祖を助けてくれたからなんですね…。」
そう言うと、槇寿郎は居心地悪そうにする。
その不自然な態度を見て桜はハッとした。
「………………きっと立派な人が助けてくれたんだろうなあ。素敵な人なんだろうなあ。」
桜の妙な口振りに気が付かなかった杏寿郎は嬉しそうな顔でそれに乗っかる。
杏「ああ!そうだな!!もしかしたらずっと昔の隊士かもしれないが、出来るのならお礼を言いたいものだ!」
その言葉に槇寿郎は眉を寄せ、もう無い小鉢の中身を取ろうと試みていた。
桜はその様子を見て確信すると目を輝かせる。
「槇寿郎さんなんですね!!助けてくださったのは!!!」
―――ガチャンッ
唐突な嬉しそうな声に槇寿郎は意表を突かれ、膳に膝をぶつけ皿を落とした。