第24章 不思議な縁と晩酌
槇「………………。」
槇寿郎は否定せず、慌てて割れた皿を片す千寿郎に視線を落とす。
その無言の肯定に桜と杏寿郎は嬉しそうに目を合わせた。
杏「君とは関わりがあったのか!驚いたな!!」
「ほ、本当にびっくりです…!」
桜はそう興奮気味に言いながらも、矛盾するもやもやとした気持ちに首を傾げて千寿郎の手伝いをする。
その様子を見ながら槇寿郎は落ち着きを取り戻すように息をつくと、意地の悪い笑みを浮かべた。
槇「杏寿郎には見合い話が多く来ると言ったな。お前の先祖からも来ていたぞ。」
それを聞いて桜はビクッとする。
「ご先祖が恋敵になるかもしれなかったんですか…。あれ?私が杏寿郎さんと一緒になったら私…生まれてこなくなるんじゃ…?」
そう言いながら桜が青くなると、杏寿郎は眩い笑顔を向けた。
杏「心配するな!俺は婿入りする気は元より無い上に見合い話は全てその都度断っている!君が来ても来なくても、君のご先祖と一緒にはならなかっただろう!!」
桜はそれを聞くとほっとしたが、先程から消えない胸のもやもやにまたもや顔を曇らせる。
しかしそのもやもやが自身の心からではなく、不安定な温度からくるものだと気が付くとハッとした。