第24章 不思議な縁と晩酌
槇「猫、お前『父上!桜です!!』…桜。以前にもそれを言っていたな。本当に褒め言葉か?今の流れで褒め言葉が出るとは思えんぞ。」
厳しい声色に桜は固まる。
その様子を見て杏寿郎は首を傾げた。
杏「桜は嘘が不得意なので褒め言葉なのは間違いないでしょう。だが桜、なぜそのように固まるんだ。」
圧が強めの二人に見つめられて冷や汗が止まらなくなる。
「あの…、ツンデレというのは…、私のいた時代で作られた俗語で………槇寿郎さん、怒らないでくださいね…。」
桜は一度言葉を切って槇寿郎に懇願するような目を向けた。
そして喉をこくりと鳴らす。
「その……普段はツンツンしてて少し当たりが強いけど、実は…内心は………で、デレ…つまり、素直じゃない可愛い人という…意味で………、」
そこまで言うと桜は青くなった。
槇寿郎だけでなく、杏寿郎も眉を顰めたからだ。
杏「俺もそうだが、大人になってまで女性に可愛いと言われるのは男としてあまり気持ちの良いものではないぞ。」
桜はその言葉に目をぎゅっと瞑って眉尻を下げる。