第24章 不思議な縁と晩酌
(あれ…いただきますって言わないのかな……。)
「…い、いただきます。」
桜は小さく手を合わせると、欠かしたことの無かった言葉を口にした。
それは小さな声だったが静かな部屋にはよく響いた。
するとパッと三人の炎色の目が桜へ向く。
「…っ!!!」
桜が思わずビクッと体を震わせると杏寿郎が太陽のように笑った。
杏「桜は食べる前に必ず同じ事を言うな!いただきます!!」
杏寿郎はそう言うと桜の真似をして手を合わせた。
千寿郎も釣られるように小さな声を出す。
千「いただきます…。」
しかし、作った自分が言う言葉だったのか自信が無くなると 下がった眉尻を更に下げ、頬を桜色に染めた。
それに気が付いた杏寿郎と桜は微笑ましそうに頬を緩ませる。
しかし、槇寿郎は空気を読めなかった。
槇「千寿郎が言うのはおかしいんじゃないのか?」
はっきりと指摘されて千寿郎は ぼっと赤くなってしまった。