第24章 不思議な縁と晩酌
杏寿郎と千寿郎は父親の姿を見ると目を大きくして立ち上がった。
千寿郎は急いで膳を並べ直そうとしたが、槇寿郎がそれを制する。
槇「下座で構わない。」
千「で…ですが……、」
槇寿郎の膳を持った桜が困ったように眉尻を下げると、杏寿郎はハッと我に返り自分の膳を持って上座から退いた。
杏「桜!!」
その声に桜はすぐに頷く。
槇「いい、そのままで構わ、」
杏「いくら身内だけであろうとそれは出来ません!!」
杏寿郎は大きな声でそう言いながら、あっという間に一つ下の席に着いた。
それを見ると槇寿郎は居心地悪そうな顔をしながらも上座へ着く。
(空気が…重い………でも…、)
「……槇寿郎さん。」
桜が小さく声を掛けると、気まずそうに視線を下げていた槇寿郎はハッとし ようやくご飯に箸をつけた。
それを確認すると杏寿郎と千寿郎も箸を持つ。