第24章 不思議な縁と晩酌

そう思うと槇寿郎は深く息をついて手を解き、桜の鼻を遠慮しない力で摘んだ。




「ぅむ"っ！」



槇寿郎は何も言わず、ただ桜の驚いた顔を見ると小さく笑って頭を雑に撫でる。




「わわ！髪が…！」


槇「杏寿郎は妙な嫁を捕まえたな。」




いつもの意地の悪い声色に桜はハッとした。




「………そうですね！」



桜は少し泣きそうになるのを抑えてなんとか言葉を返すと、心底嬉しそうに眉尻を下げて微笑む。


槇寿郎はその様子を見ないふりして客間へずんずんと歩いて行った。




槇「猫、お前一人で飲んでないだろうな。」



膳を持ち直し、前を行く槇寿郎を追いかけながら桜は目を見開く。




「あ、ひどい！私はそんな杏寿郎さんの想いを踏みにじることはしません！」


槇「ああ、杏寿郎が選んだ酒だったな。杏寿郎が…………、」



そこまで言うと槇寿郎は説教をしなければならない事を思い出した。


そして後ろを振り返る。