第24章 不思議な縁と晩酌

その言葉に槇寿郎は珍しく眉尻を下げて俯いた。





(槇寿郎さんのこういうところ…私は可愛らしく思ってしまうけれど、父親の姿勢ではない。)






桜は拳をぎゅっと握ると意を決したように槇寿郎の両手を握った。





「彼らは…瑠火さんが遺した大切な子供です。そしてその子達の唯一の親は貴方です。」



"瑠火さん" の名前を出した時、空気がピリッとしたのを感じたが 桜は怯まずに言葉を紡ぎ続ける。




「杏寿郎さんはしっかりしているようだけど、真っ直ぐすぎて危ういところがある青年です。千寿郎くんに至っては…まだ少年なんです。」



桜は胸が苦しくなりながらも視線を下げずに槇寿郎を見つめ続けた。




「槇寿郎さんがどんな考えを持っていても、貴方が、貴方だけが、あの子達の紛れもない親なんです。導くべき存在なんです。」





そこまで言うと、桜は掴んでいた手にぎゅっと力を込める。





「お義父、さん…。」





桜は先程と違った真剣な声でその言葉を口にした。






「………一緒に食べたいです。」






真剣な声の割に何の捻りもない子供の我儘のような事を言われ、槇寿郎は一瞬呆けた顔になる。

そしてすぐに眉を寄せた。




槇(……毎度こうだ。こうして自分の意地が馬鹿馬鹿しくなって………結局、絆される。)