第24章 不思議な縁と晩酌
「今日はご馳走ですね!あーこれを食べられない人は可哀想だなあ…。」
そう言いながら桜はくるっと方向転換をして居間へ歩き出した。
「槇寿郎さん!今日の晩酌は居間でやります!あのお酒も持ってくるので飲みたければ来てください!」
それに返事をしない槇寿郎を桜は眉尻を下げて振り返る。
「槇寿郎さん。私があなたと飲みたいんです。お願い聞いてくれませんか…?」
そう言いながら桜は槇寿郎に近付いて下から顔を覗きこんだ。
「お義父さん、お願い。」
槇「……………。」
槇寿郎はその言動に眉を顰めた。
槇「お前…それは………、こういう時に利用するな……。」
それを聞いて桜は心底楽しそうに笑う。
「一生で一度しかない一日ですよ!どうしても槇寿郎さんに来てほしいんです!お酒を取りに行ったらそのまま一緒に居間に入りましょう。」
そう言うと桜は軽い足取りで酒を隠してある客間へ向かった。
それでも相変わらず付いてこない槇寿郎を誘うように、くるっと振り返ると満面の笑みを浮かべる。
その心底楽しそうな笑みに槇寿郎はとうとう折れ、大きな溜息をついた後 自室から出たのだった。