第24章 不思議な縁と晩酌
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「どんなご飯なんでしょう。」
杏「千寿郎の事だから俺の好物は間違い無く入れてくれているだろう!」
そんな会話をしながら居間へ向かうと まだ用意をしているようなパタパタとした千寿郎の足音がする。
(槇寿郎さんも一緒に食べれればよかったのにな……。)
「……千寿郎くん、来ました。」
桜が居間を覗くと膳を並び終えた千寿郎が嬉しそうな顔で振り返った。
千「どうぞ座ってください!」
「………………。」
千寿郎に席を勧められるも桜は三つだけの膳を見ると少し不満そうな顔をして立ったままになってしまう。
そして二人が首を傾げている前で踵を返すと居間を出ていってしまった。
杏「桜?」
千「えっ…どちらに、」
桜はまだ悩んでるような表情のまま二人の声に反応せずにある一室へ向かう。
そして、目的の部屋の襖が開いて手が出てきたのを見つけると駆け寄って膳を取り上げた。
槇「な…っ!猫!それは俺の分だぞ!!」
その何をしようとしているのかを分かっている苦い顔を見ると、桜は悪戯っぽい笑みを浮かべる。