第24章 不思議な縁と晩酌
「わっ!!」
桜がバランスを崩すと杏寿郎はふわっと抱きとめ、優しく口付けをする。
杏「舌を入れなければ平気か?」
そう言われて桜は赤くなりながらも空気に流されて頷いた。
杏寿郎はそれを見ると嬉しそうに何度も口付けをし、優しく髪を梳く。
「あの…もう行かないと……、」
杏「ああ、そうだな。」
そう答えながらも杏寿郎は桜の腰に手を回して抱き寄せ何度も口付けを繰り返す。
優しく、ただひたすらに甘い空気に桜も幸せな気持ちになった。
だが千寿郎が待っているのだ。
桜は杏寿郎に拒絶したと思わせないように少しだけ顔を離すと、首に腕を回して杏寿郎の頭を引き寄せる。
「杏寿郎さん…たくさん幸せになりました。ご飯を食べた後にまた続きをしてくれませんか?」
そう柔らかく言うと杏寿郎はハッとしたように肩を揺らしてから 桜を抱きしめて額に口付けをした。
杏「すまない!また制御出来ていなかったな。弟を待たせるとは不甲斐ない。…だが、君が俺の気持ちを思い遣ってくれた事は嬉しく思う。ありがとう、桜。」
杏寿郎は桜がどのような意図で先程の言葉を選んだのかを察し、嬉しそうな笑みを浮かべて桜の頭を撫でた。
一方、桜は杏寿郎に簡単に意図を見透かされ、 "敵わないな" と感じると眉尻を下げて微笑んだ。