第4章 協力者
まだ心配している千寿郎は空いているもう片方の手で桜の背中をさすってくれる。
(…本当に優しいなあ……。)
その手を感じていると強く苦しい気持ちが徐々に消えていった。
桜は顔を上げてふわっと微笑む。
「ありがとう。だいぶ落ち着いたよ。」
その笑顔を見て千寿郎も微笑んだ。
そしてそのまま目を逸らさずに桜をじっと見つめる。
千(さっきの表情…あれは神様のものじゃない。この方は…この人は……本当に人間だったんだ……。)
千「…………桜、さん…、本当に人なのですね。」
その小さな声に不意を突かれ、桜は目を見開いた。
そして遅れてやってきた安堵からぶわっと胸が熱くなると、桜は瞳を大きく揺らす。
(…な、んで…………。)
動揺しつつも、目を背けていた心細さがどんどん解けていった桜は 泣きそうな顔を隠すように千寿郎を抱きしめた。
「……ありがとう…信じてくれて…………。」
(…自覚してしまった…。本当はずっとこんなにも心細く感じていたんだ………。でも、抑えなきゃ。)
桜はどんどん堪えられなくなりそうな涙を必死で我慢しながら、優しく千寿郎の頭を撫でる。
しかしずっと返事のない千寿郎に気が付き、ハッと我に返ると千寿郎の肩を掴んでバッと体を離した。
「ごめんなさい!近かった…よね…………、」